これは「秘話 800号」を越えた記念です。それくらいの高いレベルの読者でないと通じないことかも知れません。これは、余程、数多くのストレリチアの花を見てきた経験がないと書けないからです。じつは805号の「草型」は、これに大いに関係があるので、私が、拘った理由でもあります。草型が花に関係してくるからです。
一般の人々にとってストレリチアの花は差がないように見えるかも知れませんが、専門家とは、ご苦労様に細かく仕分けしてしまうのです。ストレリチアの花は二つに分けられます。大きな有茎種の花と小さな無茎種の花です。この2種の違いは大きさだけではありません。苞の太さです。大型種が丸々と太っているいるのに対し、小型種は細いのです。
これは中に詰まっている蕾の数の差でしょうけれども。
肝心の小型種でも大小、つまり、苞の長さの違いがあります。レギーネは長く、ジャンセアは短く、ずんぐりしています。レギーネでも高生種は細く、長く、中性種は標準の形です。
苞が細いのは見た目も貧弱ですが、苞の太さは大いに関係します。これは入っている蕾の数の違いです。勿論、株の栄養状態によっても差が出ますが、大きく、細い花が多いのは高生種です。
萼片の長さも違います。レギーネは長く、ジャンセアは短いのです。萼片の中も差が出ますが、これは個体差です。このように花はだけでなく、大きさ、形にも変異がありますから評価が複雑になってしまうのです。
それにしても、痩せ細ったストレリチアの花を見るのは何とも味気ないものですが、南アフリカでも、昔、まだ選べなかった時代に描かれた絵には痩せた細い花が多くあります。「美しい花」と一口に簡単にいいますが、その背後には多くの条件があって成立っているのです。

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