一年を通じて育種家が待ち焦がれているのが初花の開花なのです。勿論、普通の開花も嬉しいのですが、初花には比べようがありません。何しろ、この世の中に始めてのデビューなのです。最大の望みは優秀花の出現ですが、なかなか期待どうりになりませんが、それでも、今までになかった新しい花が出てくれることは大きな喜びです。
このために一年の栽培作業が、この一点に集中します。普通の開花株よりは、来年の開花が期待される若い株や大苗が候補なのです。その年に開花しなかったら、また一年、待たなければなりません。何としてでも開花に持ち込もうと必死になるのです。毎日が、その期待に焦がれて過ごすことになってしまいます。一日、一日の成長が開花に繋がることの願いになりますから、普通の栽培のように、ただ、大きくなれば良い、などではすまされない真剣な気分です。何しろ、花が出やすい様な育ち方でなければならないのです。このように心構えからして普通の栽培とは違っているといえるでしょう。
それでも、それは、あくまでも期待であって、実際の表われは、割引されたものに縮小されてしまいます。同期生全部が揃って開花することなどありえません。その何割だけしか開花しませんから、毎年、見ることが出来る初花は多い年でも20本ぐらいしかないのです。
でも、これは大変なことなんです。新しい品種が生まれるのは数多くの障害を潜り抜けた結果なのですから。
