ストレリチア秘話No.239 ストレリチア進化の方向は自然から人類の手に

 ストレリチアが、この地球上に誕生して以来、その進化の方向は、すべて自然の手に委ねられてきました。それが近年になって人類が手を差し伸べるようになると、人の好む方向へと変えられるようになってきています。それでもストレリチアは頑固にも、なかなか応じようとはしてくれませんが、幾つかの点では変えられる部分もあるのです。

 その一つに花立ちがあります。自然状態のままの原種では、まあまあ、程度が多く、中には滅多に花を出さない極端な系統もあるほどです。これは厳しい環境の中では養分の消耗は程ほどに抑えておかなければならないからでしょう。それが人工交配の中からは特別に花立ちのよい系統も現れ、人々に喜ばれて広まります。こんな極端な形質は、自然では生まれたとしても生きてゆくことは出来ず、消え去る運命にあったことでしょう。ところが人工栽培では、どんなに消耗が激しくても、十分な水や肥料が保証されて生きてゆくことが出来るのです。

 花の色や形では、ストレリチアはサンバードの好みに合う方向に進化してきました。それが今後は人の好みが優先して選別されてゆくでしょう。そんなにかけ離れた違いはないかもしれませんが、好みの差は全然、ないとはいえないでしょう。

 このトレリチアも家畜化、栽培植物化へ進んでゆくことは避けられないことです。こう見てくると、私のところにある原種は歴史的価値のある「宝物」に思えてきます。