ストレリチアは工場で生産される大量生産品ではありません。生命を持った植物ですから個性にあふれています。それだけに形質はバラバラでピンからキリまでの広がりがあります。裾野のキリの方は数が多いのですが、頂上のピンに近づくにつれ少なくなっていきます。数少ない優秀花が生まれる陰には多くの犠牲が横たわっているのです。それまでにかかった経費はピンに背負ってもらわなければなりません。手に入れる方は価格が障害になるのですが、供給する側には、 他にも困る事情もあります。自分で厳しく選抜してきたのですから、その株の良さは知り抜いているのです。 売れて無くなってしまったあとになって、「しまった! 株分け出来るまで待ってもらって、片割れを残しておくべきだった」と悔やむことなど、しばしばです。そんなことをいっても、それは1年も、2年もかかることですから、簡単にできることではありませんが。 とにかく、一品ものには、誰もが持ってはいない価値があることを知ってもらいたいと思っています。それにしても、私が惜しいと思うほどの品だからこそ、お客さんも満足してくれるのでしょう。
また、私の思いだけが先行してしまうことも多くあります。 現在、 ジャンセア ゴールドが注目されつつありますが、これは、ストレリチアの今までの進行方向の延長線上にあることですから不思議はありませんが、矮性種は、まだ、極く、一部の人にしか行きわたっていません。これは枝道で、特別に変わった存在なので、なじむのに時間がかかるのでしょう。
このようにストレリチアは個性あふれたものが多いからこそ、楽しみも大きいのです。