ストレリチア秘話No.297 孤高の植物ストレリチア

 植物の生き方は様々です。ストレリチアの栽培にあたっては、その生き方に合わせないと、とんでもない、見当違いなことをやってしまうことになります。ツル植物は、巻き付く相手がいなければ生きていけません。半日陰を好む植物は、日差しを適当に遮ってくれる植物がいなければ、強い日差しをまともに受けて日焼けを起こしてしまいます。ストレリチアは、どんな生き方を望んでいるのでしょうか?

 グラハムスタウン近くのエッカバスで、イーストロンドン近郊の数力所のレギーネ自生地で、ままならない生き方を強いられているストレリチアに出会いました。自生地だからと言って、すべてが理想的条件の場所ばかりではありません。仕方なく、我慢させられているのもあるのです。それは密生したブッシュの中に紛れ込んでしまった株です。同じ高さの低木なら、まだしも葉だけでも出せますが、中には、もっと高い木に覆い被され、半日陰になってしまっているものさえあります。これを承知で潜り込んだのか、或いは、始めの頃は明るく、開けていたのが、後から他の木が侵入してきたのかは分かりません。とにかく、このストレリチア達は幸せではないことは確かです。

ストレリチアは、周りに邪魔者がいるのを嫌がります。自分一人、孤高で生きたいのです。周りから邪魔されたくないのです。趣味栽培でも、鉢の置き方、庭への植え方に、このことをわきまえておかなければなりません。