ストレリチア秘話No.308 人の力で生き延びられたストレリチア矮性種

「人類が強大な力を持ったために自然が破壊されている」と、よく言われています。しかし、ここでは、「自然は生かしてくれなかったのに、人類が生かしてくれた」ストレリチアについて語ろうと思います。それは、ドワーフ 矮性ストレリチアです。

 レギーネでは特別に小さい系統は生まれませんでしたが、パーヴィフォリア、ジャンセアと進化するにつれ、本当に小さい、30~50㎝の矮性種が登場してきたのです。私は、これは人工栽培の結果、生まれた突然変異では、一本しか生まれないでしょう。

 矮性型は、元々、彼らの遺伝の中に存在してきたのに違いありません。それなのに自生地に姿がみられなかったのは、背が低すぎて、周りの草に覆われ、生きてゆくことが出来なかった、ということではないでしょうか。「自然では生きてゆくことが出来なかったのに、人間が手がけるようになって息を吹き返した」これがわたしの説です。これは、あくまでも「説」ですから、絶対に正しい、などとは言いません。とにかく、栽培上では、明るい、日当たり確保してもらえて、一人前のストレリチアとして待遇が受けられるようになったのです。

 とはいえ、人の間で生きることも簡単ではありませんでした。こんなに小さいストレリチアが存在すること自体が、なかなか信じてもらえなかったのです。ところが、ここのところへきて、少しずつ変化が現れてきたようです。でも、脚光を浴びることは望んでいません。ほどほどでいいのです。なにしろ、わずかな数しかないのですから。