ストレリチア秘話No.312 緑の指(グリーン サム)と茶色の指(ブラウンサム)

 その人の手にかかると、植物が、みるみるうちに元気になる園芸家がいます。人呼んで「グリーンサム」(緑の親指の持ち主)。その不思議な能力を園芸好きな英国人が例えた言葉です。これに対して、触れる植物という植物が、すべて茶色く枯れてしまう「ブラウンサム茶色の指」の持ち主もいます。これには、どう対処したらいいのか、園芸界でも、まだはっきりとは解明されてはいないようです。園芸技術、栽培技術だけでは片づけられないからです。

 私たちは、植物から「喜び、安らぎ」を得ようと、期待して身近に置いています。でも、逆に、私たちも植物に影響を与えていることを忘れがちなのではないでしょうか。その現れの一つが「グリーン サム、ブラウンサム」の現象だと思うのです。以下は単なる私の説ですから、納得出来なければ、読み流して結構です。

グリーン サムもブラウンサムも、生まれつきや、変えられないものではないと思っています。そんな頑固な遺伝はなく、せいぜい、あっても、その傾向がある、ぐらいで、決して動かせないものではないでしょう。では、何が、そうさせているかと言えば、それは、「その人の心理的状況が影響を及ぼしている」ということです。明るく、朗らかで、優しい気分で植物に接すれば、それが、そのまま、植物に乗り移り、建設的でプラスの方向へ向いていくことでしょう。反対に、困った悩みを抱えていたり、自分の境遇に不満を強く持っていたりすれば、無意識のうちに周囲に破壊的な影響を与えてしまうかもしれません。少々、オカルト的、心霊的な方向に傾きかがちではありますが、このように考えると納得できるように思えるのです。グリーン サムは生まれつきではなく、そのような心理状態であるなら、そのように自分をしむければよいことになります。簡単なことでは無いでしょうが。

 私たちは、100%植物に要求するのではなく、50%は植物に与えて、初めて一人前の図芸家である、といえるのではないでしょうか。つまり、私達と植物とは、「50対50フィティフィティ」なのです。