それは生まれる確率が低く、数が少なく、希少品だからです。スポーツ、高校野球で言えば、先ず、地区予選で勝ち残り、代表の座を獲得しなければなりません。やっとの思いで甲子園に出場し、次もまた、予選、準決勝、決勝と勝ち抜かなければなりません。晴れて優勝校が誕生するまで、どれだけの数のチームが敗退の愛き目に合うことでしょう。ストレリチアとて似たようなものです。例えば、ホームページの「優秀品種一覧」に紹介されている、「ゴールド クレスト」の数種は、7000本の実生苗の中から選ばれたエリートたちです。そこまで厳しい選抜でなくても、100本に一本、1%で選ばれたものもあります。結果として、生き残った勝者は、ふるい落とされた敗者の分まで経費を負担せねばならない立場にあるのです。これを考慮すると、今の価格は安すぎるのではないかとさえ思えてきます。
交配の場をみてみましょう。実生苗は、全部が同じ、なんてことは、先ず起きません。父親から、母親からの遺伝がランダム(無作為、偶然)に組み合わされ、かき回されますから、一本、一本が違う組み合わせで無数の広がりを持って誕生してきます。開花後、仕分けすると三つのグループに分けられます。
1,親より優れている
2,親と同じ程度
3,親より劣る
この割合は交配によって様々で一定していません。兎に角、交配の目的は(1)にあるわけですが、そうそう、あまいものではなく、ごく少ないのが普通です。
もう一つ難しい問題を抱えています。その株がいくら優れた形質を持っていても、交配親として次代に残す遺伝の力があるとは限らないからです。或る優秀品種があります。ところが実生苗 1000本の中で、この親の優れた特徴を受け継いだのは、わずか一本だけでした。
しかも、親より、やや劣っていたので、がっかりしてしまいました。それでも、ひいき目にみれば、相手との相性が悪くて優性とならなかったのかもしれない、今度は、全然、かけ離れた片親で試そうと思っています。それほど、魅力ある形質をもっているからです。
交配では、父方、母方、両方から来た同じ働きをする遺伝子が同じ座で向き合い、力の強いほうが優性となって表現型となり、弱い方が劣勢で、隠れた遺伝型となります。ただし、この強弱も、相性次第でもあって、やってみなければ分からないのが実情です。
ここまで知っても、まだ、安ければ良い、と予選落ちに手を出しますか?
ストレリチア優秀品種一覧
https://www.strelitzia-kennkyuuzyo.com/post/どんな品種が良いといえるのか?