ストレリチア秘話No.375 ストレリチアの遺伝の面白さ

 生物の遺伝の様子は様々で、ストレリチアには、それなりの独特さがあるようです。ストレリチアの交配、育種が私の主な仕事ですが、近頃はジャンセアの交配が多く、今までのレギーネにはなかった現象にとまどっています。

 ジャンセアの無葉種同士の交配で、両親が無葉なのに、生まれてくる子は、小さな葉を付けたパーヴィフォリアと呼ぶべき姿のものが驚くほど多い割合で出現してくるのです。初めの頃は戸惑いました。私の狙いは「無葉」であるのに、招かれざる小葉が、いっぱい出てくるのですから。これは私の個人的な予想で、「ジャンセアの無葉は、相当に無理な進化であって、出来れば、もっと楽な姿に戻りたい願望があるのではないか、これは先祖返りだ」とは前に述べました。今回は別のことなのです。

 近頃では、この現象も、またか、思う程度で驚かなくなりました。変わって発見したのは、苞の紅い美しい花が、こちらの方が多いのに気が付いたのです。*****星は小葉のほうが多く出現するのです。やはり、いいこともあったのです。

それなのに、まだ無葉の作出にこだわって、あわよくば、と無葉の花粉を、この小葉の*****星に交配する作業をやめていません。しょうがない性分だと苦笑いしながらです。それでも、これは、これなりに大切にした方がいいと思っているのは確かです。