ストレリチアの花の美しさは苞によって決まる、といっても過言ではないでしょう。花弁(正確には萼片)には殆ど差はありませんから、苞の違いだけが目立つのです。大きく分けると基本の型は多くありません。ただ、その広がりの変化が無限なのです。
1、苞の全面が、くすんだ緑色
これは一般的なストレリチアの花の特徴ですが、美しさに欠けるので*星以下、悪く言えば駄花で、問題にすることはありません。
2、苞の中心部分が緑色(緑色にも濃淡があり、とくに明るい緑色は好まれます)で、周辺が紅色となります。花首の伸びる系統では、ここ(首)が赤く染まると優秀花です。
この系統の先祖はストレリチア黄色原種の「マンデラス ゴールド」の遺伝を受け継いだ「オレンジ プリンス」や「ゴールド クレスト」に多く現われます。特にの上部に紅色が緑状に露われると美しさが強調されます。優秀花の多くがこのタイプです。厳密に見ると、「マンデラス ゴールド」は緑色がやや強く、苞の形が細長い癖があるのですが、子供の「ゴールドクレスト」には、もう半分の「ゴールド A」の濃い紫紅色の遺伝が入っていますから、「2」は、この影響も受けています。
3、緑色が殆どなく、全面が紫がかった濃い赤色の強い印象を与えますので優秀花となります。首も少しは赤く染まりますが、どういうわけか、きれいなとまではならない赤色です。この先祖は「ゴールドA」で、「ゴールドクレスト」の片親ですから、この品種の中の一分派ともいえるでしょう。どういうわけか、この系統は肥料の中のリン酸分が少ないと色がキレイに出ません。
これには、もう一つの系統があります。それはオレンジジャンセアの「ジャンセアユイテンハーグ」系です。こちらのは、もっと美しいのですが、欠点も抱えています。それは、首があまり伸びず、従って赤く染まらないことです。でも、苞の美しさは抜群ですから、そこまでは欲張りすぎでしょう。とにかく、ジャンセアの最高品種といっても差し支えありません。でも、もう一つ不満があるのです。それは遺伝の力が不足して、子孫に、なかなか伝えられないことです。交配の相手を離れた遺伝の種に換えてみようと思っています。
4、両端が紅色で中心部が緑色
これは、つい最近になって出てきた新顔です。苞の尖った先端が特に紅色が濃く、強い印象を与えます。もう一方の首も赤くなりますので、こうなると優秀花です。(2)のと同じに先端から紅色が尾を引いての上部を彩りますが(2)ほどの強さはありません。驚くのは、この苗の色の遺伝の支配力は強く、大部分の子孫に受け継がれることなのです。ジャンセアゴールドとは、こうだ、といってもはずれがない、ほどです。
この花の先祖は「パーヴィフォリアセットラーズ パーク」ですが、その誕生については他の章で述べていますので、ここでは省略します。多分、この花の秘密は、その辺りにあるだろうと思っています。
5、未来に現われる苞
まだ、現実には存在していませんが、やがては現われるであろうです。頑固で融通の利かないストレリチアが、ただ一つ、変化してくれるのが苞の色ですから、期待をしても無駄にはならないと思っています。