私たち人類は、石器時代の昔から野生動物の狩猟から家畜化へと進んできました。それも自分たちに都合が良いように選択し、合わないものは排除して、徐々に水準を上げてきたのです。
その基準も時代と共に変化しています。初めの頃は、放任、放牧でしたから、丈夫なものだけが生き残ったことでしょう。やがて、人の思うようにならない動物は始末され、水準が上がってゆきました。やがて、牧舎で人が餌をやるようになると、生産性が問題となってきて、品種の向上が計られる段階まで発展してきたのです。こんなことを書いたのは、ストレリチアも同じ道を辿ってきた、と言いたかったのです。
ただ、ストレリチアが違うのは、大量生産品ではないために、こんな、はっきりとした道筋では無く、いまだに古いものも残り、混然としていることです。ですから、ストレリチアを手に入れるには、自分の望む水準の品がどこにあるかを知らなければなりません。
それが普通レベルであれば問題はなく、園芸センターをはじめ、どこでも手に入ります。
しかし、優秀品を望むとなると、ことは簡単ではありません。人間の有名人は、人前にでてきてくれますが、ストレリチアの名品は、普通では写真でしかお目にかかることは出来ません。専門の圃場にひっそりと隠れているからです。買い取られても、また、大切に扱われて、人目に触れることは殆どありません。それほど、数が少ないのです。
人とストレリチアの名品との出会いは「縁」が取り持つもの、と考えたくなります。簡単に入手出来ると考える人には「縁が無い」ことと言えましょう。