ストレリチア秘話No.546 空間を埋める美のレギーネスッキリ、隙間のジャンセア

 ダリアのフラワーアレンジメントを見ました。生け込み全面、どこも隙間無く花で埋められています。花一輪、とってみても、八重咲きの花弁で隙間がありません。

 これに対して、グロリアサのいけ込みは対照的です。曲がりくねった、細い花弁は背景に余分なものがあっては引き立ちませんから、すっきりと空間の中に浮き出ています。ストレリチアの花は直線に近い花弁で構成されていますから、この空間を活かす使い方が向いています。

 ところが、ストレリチアは草型に、この二つのタイプがあるのです。その一はレギーネで、巾広い葉で日光を全面的に受けられるように繁る埋め尽くし型です。もう一つはジャンセアで、空間を多く残して、スッキリとした姿で立ち上がります。日光は通り抜けて株にまで達します。パーヴィフォリアは、この中間です。

 私のところへみえるお客さんの好みは、断然、埋め尽くし型のレギーネです。どちらの型が良いかを決めることはできませんが、美意識の面では初歩の人は埋め尽くし型に惹かれやすく、スッキリ型は、慣れた段階になって、ようやく理解できるようになる傾向があるようです。でも、花だけは、ストレリチアは隙間の多いスッキリタイプであることは間違いありません。

 ストレリチア愛好家にも段々があり、姿の違いまで味わうようになれば高段者の域に、達したといえるでしょう。