私は仕事柄、一年を通じてストレリチアと付き合わなければなりません。それでも、こののんびりと生きる植物の変化のなさには、ほとほととあきれます。我慢強く耐えているわけではありません。元々、せっかち人間ですから、毎日、変化がないと飽きてしまうのです。
それでは仕事になりませんから、なんとか工夫をこらす、これが私のやり方なのです。その一端をご紹介しましょう。
まず、自分の気にいったストレリチアでなければ我慢出来ません。毎日、顔を合わせるのですから、よほど相性のよい系統で無ければ相手にしたくないのです。贅沢と言われようが、何しようが、長く付き合えることが最大の条件ですから。
第一条件は姿が整っていることです。人間で言えば、スタイルがよくなければなりません。
これに不満があるようでは長続きするわけがないのです。これこそがストレリチアだ、といえるような端麗な姿を望みます。時には、見ている人間のほうが、気後れしてしまうような優れた品なら文句ないのですけど。
第二は、花は驚く程の美しさを備えているのを望みます。それも欠点のない完璧な美しさよりは、独特な個性の方が驚きの連続があって飽きないのです。それに、これは意外に知られていないことですが、優秀品種は蕾の内から苞の赤さを現してくるのです。これが3ヶ月も続き、その後の開花と半年近くも鑑賞できるのです。こんなに長く楽しむことが出来る花は、そうそう、ありません。
これはストレリチアの持つ形質のすべてを知り尽くそうとするから出来ることで、ストレリチアは安いもので良いとする人は一部分しか知らないで終わってしまいます。それではストレリチアを知ったとはいえないでしょう。
お金が掛かろうが、どうであろうが、私を楽しませてくれるストレリチアでなければならないのです。でも間違えないで下さい。ふつう、他の事で、これを望んだら、大変な経費がかかります。ところが、ストレリチアは、ほんの少し無理すれば出来るのです。こんな有り難いことは無いと思っています。