ストレリチア秘話No.616 それでも方向を探そうとするのが研究者の性(さが)なのです

前の章で今、どんなに、ストレリチアの世界が大きく変わろうとしているかも知れないと述べました。ところが、それがどのように変わるのか、それを知ってから行動しようなどとは考えないのが研究者なのです。つまり、道すじが分ってから、それを追いかけようとするのは一般の栽培者であって、そんなことを待っていることなど出来なくて、さっさと自分で見つけてしまおうと欲張る性(さが)を持っているのです。

 ただし、これが、いつも当るとは限りません。どちらかといえば、外れることの方が多いのですが、性分からいって止められないのです。こんなご苦労様なことをやってくれるのですから、一般の人々にとっては有り難いことに違いありません。でも、もし、運良く当ることが出来れば、先駆者利潤が得られるのですか満更、悪いことばかりともいえないでしょう。

 育種家としての私は、いつも、幾つかの交配を目指しています。これは交配の結果が必ずしも自分の目標だけで終わるのではなく、一般の人々の欲求にも合っていないと評価されないことが起きるからです。現在、二つの交配に力を入れています。本来なら、ストレリチア結果が判明するまでかくしておきたいことなのですが、そうもしていられないので公表しているのです。

・ジャンセアゴールドの改良です

 これは初めてではありません。すでに3代目まで進んでいるのですが、まだまだ、変異が多く現われるので次を期待しているのです。

・パービフォリア ゴールドの作出

 これは私自身の期待よりは一般の人々の要望に応えようとの交配です。無葉のジャンセアが、まだ私が思うほどには需要が伸びないので、仕方なく、その間のつなぎをしてもらおうと思っての交配です。だからといって期待していないわけではありません。多分、苞の赤い美しい品種が生まれて来るであろうと思っています。それでも思惑の違いもあります。どの程度の葉の大きさになるか、また、形の変化もです、これらは起きてみないとわからないのです。

 まだまだ、次の交配の予定はあるのですが、そこまでの公表は控えておきます。