ストレリチア秘話No.752 ストレリチアと気孔の問題

 私たちは植物が水や肥料を吸い上げることは常識として子供でも知っていることです。

 でも、気体の二酸化炭素を取り入れて酸素を吐き出す呼吸の作用になると、忘れがちになってしまいます。

 ところが、ストレリチアとっては、種を分けてしまうほど大きな問題なのです。大型有茎種は大きな葉を付けていて気孔を十分に持っていますから、普通の植物感覚で十分なのですが、小型無茎種は乾燥地帯に住んでいますから、気孔の働きに敏感なのです。

 気孔は植物体に出来た穴ですから、ガス交換だけでなく、水分の蒸散までしてしまいます。

 これが問題なのです。乾燥地でもガス交換は必要ですが、出来れば、余分な水分の吐き出しは控えたいのです。そこで微妙な調節が必要となるのです。レギーネの場合、根の育ちが悪く、水を吸い上げる量が減ると過剰な水分の蒸散を抑えるために葉を巻いて日光による動きを弱めようとします。これが時々、起きる障害ですが、ことは葉にあるのではなく根なのです。

 レギーネは葉の裏に気孔がありますが、ジャンセアは、その葉すら持っていません。葉柄にある、わずかな気孔でことを済ませているのです。これが、ジャンセアが植え替え、株分けに強い原因でもあります。レギーネでは、植え替えられようとも蒸散は続けますから、残った葉はしおれてくるのです。

 私たちは意外なところで気孔の影響を受けています。