ストレリチア秘話No.886 ジャンセアゴールドの遺伝の構成

 これは、あまりにも専門的な内容なので書くことを控えようと思ったのですが記録だけはしておこうと思い直しました。また、もし、ジャンセアゴールドが注目されるようになれば、その出生が追求される事も起きるでしょうから、との意味合いもあります。

 ジャンセアゴールドの作出にあたっては、随分と気を使いました。それは親株が大元の黄色原種ではなく、その子供のセットラーズパークを使ったからです。困ったのは、こちらはオレンジの遺伝を半分受け継いだパービフォリアで、雑種一代目ですから、そのままでは黄色種は生まれません。そこで、二通りの方法を採用することにしました。

1,母にレギーネのゴールド クレストを使う

黄色種を生み出すための方法です。父親(花粉親)のセットラーズパークは黄色の遺伝は半分でも、ゴールド クレストは全量が黄ですから子供の半分以上は黄色が出るであろうとの見通しです。困るのは、片や、大きな葉のレギーネで、もう片親は小さな葉のパービフォリアですから、子供の大部分は小さな葉を持つであろう、ということでした。

 結果は、予想を超えて大部分が黄色花でした。葉の形は見込み通り、殆どが小葉でしたが、ほんの2本だけ無葉で、こちらは頑固にオレンジだけでした。ここでも私は、「ストレリチアの頑固さを思い知らされました。

2, 母株の自家受粉

「メンデルの法則」の応用です。結果は殆どが黄種でストレリチアはエンドウ豆とは違うことを知りました。小葉が多かったのは母譲りですが、気になったのは葉柄が細いのまで似ていることでした。無葉は出ませんでしたが、余り、期待していなかったので10本しかつくらなかったので仕方ありません。

 このようにして、ようやくジャンセアゴールドが誕生したのです。それでも、未だ、不足な点も多いので、その後、2代目、3代目と交配を繰り返し、現在のジャンセア ゴールドが出来上がったわけです。

 それでも、また、現在でも手を加えています。それは初代の親がパーヴィフォリアのセットラーズパークだったので、この不足な点に改良を加えた典型的無葉の「カノープス」とゴールドクレストの交配です。これは優れたパーヴィフォリアの作出を目指したもので結果が楽しみです。それに、もう一つ、母株にカノープスをもう一度掛けた、いわば「戻し交配」もやっています。こちらは優秀品種が出る可能性が大です。