ストレリチア秘話No.891 ストレリチアらしい生き方とは その1

 「秘話 NO 888」でストレリチアの生き方は「独立不羈」だと述べましたが、この章では、「いや、それは成株の時代のことであって、種子や苗の時は違う」のではないか、ということにふれてみましょう。

 今、7月中旬で、6月初めに播種した種子が続々と発芽してきています。こんなことは育種家のすることで、一般には関係がない、と思われるかもしれませんが、技術的なことがらではなく、ストレリチアの本性を探ろうとするのが狙いですから我慢してください。

 私のやり方は昔から6号鉢に数十粒の種子を播いています。これで順調に進むと30~50本の苗が出来てくるのです。数粒程度の少量の扱いは、必要以外はやりません。それは、今までの経験で、種子の数が多い方が結果がいいからなのです。

 やがて、6号鉢がいくつも並んだ状態で発芽してきます。ところが、鉢によって芽の出方が不揃いでバラバラなのです。同じ鉢、同じ用土、同じ水やり、同じ環境、と全部揃えて扱っているにも拘わらず、それぞれの表れ方、反応が違うのです。これは、どうにも理解出来ない不思議な現象なので悩まされます。個性だ、というのでは説明になりません。何が、そうさせているのかが問題なのです。どうも、個々の種子には勝手な行動が許されてはいないように見えて仕方ありません

 そこで、私なりの結論にたどりつきました。それは、「種子は孤立していない。社会的な影響を受けている。だから、そろそろ目をさまそうではないか、とか、いや、まだまだ早い、もうすこしていよう、などととの鉢内小集団の雰囲気に従っているのではないか?」ということです。