ストレリチア秘話No.869 ストレリチアの広がり方にも 事情があるのです

 前の章にてもストレリチア無茎種には3種ありますと書きましたが、世の中への広まり方は同じ割合にはなっていません。大きな差があるのです。ストレリチアは、自生地、南アフリカでも数多く植栽されてはいるものの、その大部分はレギーネに限られています。さすがにポートエリザベスにはジャンセアが少し植えられていますが、それでも、公園の一角にしかすぎません。パービフォリアに至ってはユイテンハーグの町の分離帯に一株あるのを見ただけでした。これではストレリチアとはレギーネのことなのだ、との印象を一般にあたえているようなものです。しかし、これには仕方のない事情もあります。

レギーネの自生地は数多くありますが、ジャンセアはわずかしかなく、パービフォリアは不便なパテンシーの一角にしかなく、しかも私有地なのです。これでは植えたくても手に入れるのが簡単ではなかったでしょう。3種は記録では平等であっても実際には大きな開きがあったのです。これは今でも解消されてはいません。ジャンセアも、パービフォリアも今だに希少なのです。

 ここを誤解してはなりません。私は、この2種を高く評価しているのに、なかなか広まらないのは、それなりの事情があったからなのです。物事の評価を正確、平等にするのは簡単ではないようです。