ストレリチア新品種の作出は遺伝子の組み合わせの最良を選ぼうとするのですからクジ引きに似ています。となると、基になる数が多いほど確率が高くなるのです。私の所では少ない年で数十、多いときで数百程度しかできていませんが。望みは数千単位です。
これ位の基礎があれば1年に1本や2本の優秀花の出現は期待出来るでしょう。実は、実際にはそんなに難しいことではありません。親株を何千と集めなくて良いのです。AとBの組み合わせは「一」ではありません。種子一粒ごとに遺伝の組み合わせが違うのですから種子の数が問題となるのです。それでも。一つの交配は同じ傾向となりやすいですから、出来れば数多くの交配をするに越したことはありません。ただ、数多くの種子を採りたくても、ストレリチアの親株同士にも好き嫌いや相性もありますから、人の望む通りとはならないことも起きます。
それだけではありません。数多くの苗を養成するには広い土地や材料、労力を必要とします。しかも、出来上がった苗は全部が商品とはなりません。欲しいのは、良くできた場合でも1%未満の優秀品だけなのです。こんな割の悪い仕事は、そうそうないでしょう。だから、やり手がいないのです。
この困難さを乗り越えた先に喜びがあるのです。但し、間違えてはならないのは、望み通りに成功する保証は何もありません。
