ストレリチア秘話No.876 生きる喜びを感じさせてくれるストレリチア

 私は毎日、栽培場のストレリチアに逢いに行きます。仕事や義務としてではありません。ストレリチアと対面しただけで喜びが感じられるからです。

 「お前も生きているか!俺も生きている!」とのメッセージのやりとりが目的なんです。

 私の生涯のテーマは「ストレリチアとはどんな植物なのか」を追求することですが、これを裏から見れば、「ストレリチアは私たちにどんな影響を及ぼしているのか」が知りたい、といってもよいでしょう。

 ストレリチアは大きく分けて大型種と小型種の2種があります。私は、どういうわけか大型種には、余り、魅力を感じません。何となく訴えてくるものがないからなのです。最初に生まれたストレリチアが大型種らしいのですが、その後、アフリカ大陸が寒冷、乾燥化してきたので、温暖、湿潤な地域へ移動したものと思われます。つまり、環境の変化に立ち向かった姿勢が感じらられないのです。その、のんびりした感じが私には物足りないのです。

 その中の一群が新しい環境の変化に立ち向かって進化したのが小型、無茎種のレギーネだったのでしょう。今までの生き方をガラリと変えてしまったのです。このバイタリテイ、生命力が今、私を力づけてくれている元なのでしょう。パービフォリアや、、ジャンセアに至っては、それに輪を掛けて、もっと厳しい乾燥地に挑んだのですから逸品です。私が好きになってしまうのは当然でしょう。

私たちがストレリチアに惹かれるのは、あの変った花の背後にある生命力なのです。レギーネが生まれたのはアフリカ大陸を南北に切り裂いた大地溝帯の南の尻尾です。ここの激しい気候の変化が類人猿を人類に進化させたのだ、との説が登場しています。ストレリチアも、その変化のおこぼれにあずかったか?とは考え過ぎでしょうか。