ストレリチア秘話No.877 個体の優劣の発生 選別は仕方ありません

 ストレリチアが私に生命力を伝えてくれると前章に書きました。でも、全部のストレリチアが揃ってそうだというわけではありません。一株、一株が違う個性を持っているのです。

振るい付きたいほどの魅力に満ちた株もあれば、こんなのは要らない、と捨てたくなるようなものまであります。ペットや家畜を相手にしている人々は同じ体験をしているのだそうです。

 人間相手が苦手な動物は始末に困るらしいのです。同じ生命体でも植物は動物とは大きな違いはあるものの、やはり、全部を同じに扱うわけにはいきません。そこで目的毎に選別して仕分けする必要があるのです。まして、私のような育種家は勝手な遺伝を背負って生まれてくる集団を相手にするわけですから、この選別は重大事です。

 第一は、その生命体が人間と付き合える条件を備えているかを確かめる事です。周囲のことはそっちのけで、勝手に生きる性質では、もう、お引き取り願うしかありません。

 第二は、人に、どれだけ可愛がってもらえるかの品定めです。ここで、その品種の価値が決定されるのです。勿論、美しさの規準が優先しますが、それだけではありません。

 第三は、時代の流れに沿っているかどうかが問題になりますが、これは個人の見解を越えてしまいます。

 ストレリチアも人の中で生きてゆくには、それなりの選別を受けることは仕方ありません。