ストレリチア秘話No.879 情報は「生(なま)」のままでは、たいして役に立ちません

 真夏の水やりの大切な季節です。私は外の置き場の一角に出したジャンセアに毎日のように常識を越えた量の水やりのテストを繰り返しています。私の栽培技術で、一番、身についていないのが水やりだと思っているからです。

 この「秘話」の読者に皆さんは、すでに800号を越える情報量を受け取っています。その内容は、書き手の側からみて、決して架空ではなく、実際の体験を基に書いているつもりですが、それでも文章にしてしまえば、ただの情報であることに変わりはありません。お伝えしたいのは、その情報は「生(なま)」であって、そのままでは現実に役立てるのは難しいということです。

 水やり、ひとつ取っても私自身、理屈としては分っているつもりでも、いざ、千変万化の実際の場面では自信が持てないのです。だからといって、水やりの理論が要らないといっているわけではありません。情報の送り手としては、情報、そのままでは、まだ不完全であって、実際の経験の裏打ちがあって、初めて生きてくる、と伝えたいのです。優秀品種の解説でも、情報だけの知識なら、映画やテレビで見るのと変わりはありません。実物を自分の手で触って初めて、その感触から実感が湧いてくるのです。情報化時代の欠陥に惑わされないようにしなければなりません。