前章にてストレリチアが生きてゆくための生態上のことがらをみてきました。ところが育種家は、これで満足してはいません。ストレリチアを自生から引き離し、人間の管理下においている限り、自然の生態のままでは済まさず、生理上、最大限の力を発揮させることを望むのです。それには、自然の生態条件を越えなければなりません。
1,のんびりした、遅い生育では我慢できず、少しでも早めようとします。
2,普通の花では不足で、美しい花が選び出されます。
3,開花の季節を広げて鑑賞期間を伸ばそうとします。
4, 花立ちの悪いものは除外します。生理上の最大限まで望みますから、精鋭の集団でなければならないのです。
5,ストレリチアの今までの生態には無かった遺伝形質まで期待されます。これは出現するまで分りませんが、『珍しいもの好きな人間」のことですから当然です。
まだまだ、あるでしょうが、自然の生態の限界を超えて、ストレリチアの生理いっぱいまでを目指す欲張りぶりです。人間が自然をコントロールしようとする意欲の表われですから止めようがありません。
