ストレリチア秘話No.1120ストレリチアを相手にするには息が長くなければやっていけない

『秘話 NO1176」で述べました「A.Iの時代に生きるために」の解答になるかも知れません。

 私の持っているストレリチア優秀品種の話です。特別な品種は、普通ではない何らかの困った点を抱えているものが少なくありません。ここに取り上げる2品種は、まさに、その通りなのです。片や、花立ち超抜群、花が出過ぎて困ってしまう品種。もう一つは、やや小柄でやさしい美しさが特徴の名品なのですが、ともに『雄性不稔』で花粉が出来ないのです。優れた形質ですから殖したいのですが、出来ないので今年の花は放置しました。メシベは正常なので交配すれば種子は採れますが、大した数ではありませんから止めて、来年、いい知恵が浮かぶだろうと捨て置いたのです。共に新品種のジャンセアゴールドの兄弟です。交配が進むとこういう特殊なことが起きやすくなるようです。

 そこで近頃になって考え直しました。正常な花粉を採れるようにするには、一度正常株を交配して遺伝を修正するしかありません。それをするには何年もかかります。その後、やっと増殖にかかるのですが、まとまった数の苗を養成するまで20年はかかるでしょう。でも、それだけをやっているわけではないから耐えられないことではありません。しかし、私の寿命の範囲内では無理ですから、後を引き継ぐ人さえいればよいのです。このようなわけで来春、交配することにしました。

 このような長いスパンの仕事だったら、AIに負けることはありません。世の中の難事業をやってのけるにはふたつの道があります。一つは難しいために、とても手が届かないこと、もう一つは誰もやりたがらないことへの挑戦です。時間がかかる仕事は誰もやりがりません。だからこそ可能性があるのです。有り難いことに仕事そのものはそんなに難しくはありません。やる気があるか、どうか、だけなのです。AIから逃げるのではありません。人間でなければできないことで挑戦しようとしているのです。