私は数学が苦手です。でも、栽培上は兎も角、育種家としては「確率」は避けて通ることが出来ない重大問題なのです。交配では、遺伝子同士の組み合わせによって、最終の結果が確率の差となって大きな違いが出てきてしまうからです。
その1は困った例です。オレンジジャンセアを殖やすべく1000本の苗を養成しました。ジャンセアは昔からの頑固な性質を残し、改良も進んでいませんでしたから、大きな期待はしてはいなかったものの結果は散々で、使い物になるのは一割程度しかありませんでした。普通の人なら甘い評価をしたでしょうが、私はストレリチア一般のレベルを適用して厳しく見たのです。一般の植物からみれば普通の出来事でしょうが私には我慢がならかったのです。
この例は、もっと詳しく述べると、片親は優秀品種でしたが、もう一方は普通品種だったのです。この程度の組み合わせではよい結果は期待出来ないようです。また、優秀品種の方も遺伝の力が弱かったからかも知れません。いずれにしても、この程度の組み合わせでは良いものが出る確率は非常に低いことを知らされました。
その2は最新品種「ジャンセアゴールド」です。これは親株が吟味されていますから、酷いことはないだろうと思っていたのですが、養成してみて驚きました。生育が良かっただけでなく、初花の開花を見ても、捨てたくなるようなものは少なかったのです。この高い確率に、すっかり驚かされてしまいました。でも、正確にいえば全体としての格が上がったのだといえるでしょう。そのために最低レベルが消えてしまったのです。
もう一つ、特記すべきは「突然変異」と呼べるものまで現われたことです。これは、どこまで関係があるかわかりませんが、大変な出来事だと思っています。
交配、と一口でいうものの、確率からみれば大変な違いが有ることを痛感しています。
ストレリチアだって確率の支配を逃れることはできなかったのです。
