ストレリチア秘話No.284 品種改良の副作用「生殖能力の低下」

「秘話No280」https://strelizia-kenkyuzyo.com/?p=1711で述べた「種子の生産力低下」の前の段階です。最先端のジャンセア ゴールドの交配になって起きました。開花時に、すでに雌しべが黒く死んでいるのが2,3株出てきました。これでは種子を付けることが出来ません。また、雄しべである花粉の少ない花、いや、全然ないものまでもあります。花粉を採りたくても無いのです。これらは、外見上、大した変化ではありませんから、鑑賞上はどうということではなく、育種家だけが困ることなのです。

 このことから推し量られるのは、人工交配による退化は真っ先に生殖過程に表われるのではないか、ということです。生殖は人がやってくれるので、少々、力を抜いてもいいのではないか、などと推し量るのは勘ぐり過ぎないことでしょうか。困るのは、どうしても種子を採りたい優秀花に多いことなのです。これは、まだ一部分の出来事ですから、そう深刻に受け止めているわけではありません。

 この現象は他の花では新しいことではないのです、早くから起きていました。ストレリチアはスタートが遅れて原種でさまよっていたのが、ここのところにきて、ようやく、この段階にさしかかった、といってもよいでしょうか。それでも、この程度で済んでいる間は大したことはありません。この後、どんな困ったことが起きてくるか心配なのです。