ストレリチア秘話No.493 ストレリチアの根の張りは?

 植物の根の張り方は種によって様々ですが、それでも大抵は、標準ともいえる範囲内に収まっています。例えば木のように、枝の先端辺りの下ぐらいまでが、主な活動範囲であるようにです。しかし、ストレリチアは、この常識を遙かに超えた広がり方をします。私は、わざわざ調べたことはありませんが、長い栽培経験の中で、出会った限りでは、地植えの場合、少なくとも、4,5メートルは延びているのを確認しています。野生では、同じ仲間だけでなく、他の植物と同居しているわけですから、制限を受けるでしょうが、人工栽培では、自由に振る舞える結果でもあり、その分を割り引いても、まだ、旺盛な張り方をしているといえるのです。こんなに広い場所から水や肥料を集めなければ生きてゆけないわけではありません。もっと、こじんまりした根の張りで十分なはずです。これは多分、将来、もっと、苛酷な気候になった時に困らないようにとの準備であるに違いないのです。何の用意もしないで、その日、暮らしをしている、その他の生物とは、訳が違うのです。

 ストレリチアの栽培にあたって心得ておかなければならないのは、この特殊性です。これを知らないと、大きな間違いを犯すことになってしまいます。

1,地植えでは、根が伸びるスペースに限界が来ると、今までの場所が過密になって、株、全体が盛り上がってきます。平らな土地へ植えたのに、気がつくと、ストレリチアは、一段高く盛り上がっています。その体積は根なのです。

2,鉢植えでは、もっと早く現われます。鉢に植えられても、じきに根が鉢の壁に沿ってトグロを巻いたように伸びて、株を上に押し上げてきます。放置すると、鉢が割られてしまうほどの力強さです。水やりの少ない、間違った栽培でも、この傾向は衰えません。それは、この性質が如何に強いかを物語っています。

 要は、ストレリチアの、この働き方を知っての上で栽培をすれば良いのです。