今まで「秘話」で何回となく取り上げてきましたが、今回は本格的に取り上げることにしました。今まで繰り返し述べてきたことに、ストレリチアを選ぶ時の第一条件は花立ちの良さであることでした。これは生物全般にいえることなのですが、ストレリチアの場合は特に気をつけなければならないのです。
生物の生き方では、最優先が自分自身が生き残ることであり、次が、その生命を次の世代に受け渡すことです。植物が株が殖え、花を咲かせ、種子を残すのは、この表われで当然のことなのですが、ストレリチアの場合は、これが少々、変形なのです。
それには特殊な事情があります。何しろ,1000年も生きるのですから、自分自身の株を殖すのは当然にしても、種子で伝えるのは、そう頻繁にする必要がありません。ここが一年草と大きく違う点なのです。
このため、自生地の原種は花を多くは咲かせません。それにしても種子を生むのは義務でもありますから、普段は、そこそこに済ませているわけです。こんなことで花立ちの悪い子供が多く出ても何ら困ることはないのです。一年草だったら死活問題になるところなのですが、ストレリチアは困ることはありません。
それでも種子は遺伝の組み合わせの結果、生まれてくるのですから、中には花立ちの良い子も当然、出てきます。つまり、色々な性質に分れるということです。それでも、ストレリチアの世界では花立ちの悪いのも不思議なことではありませんから、親株の系統によっては相当な割合で存在するようです。でも、自然では兎も角、人間社会では花が出ないのは困るのです。そこで選抜の必要が起きてきます。
ストレリチアの、この事情を知らずに入手してしまうことが多いのです。困ったことですが、知識を広めるしか方法はないでしょう。
