ストレリチア秘話No.851 自生地南アフリカと日本でのストレリチアの生長の違い

 自生地、南アフリカでのストレリチアの育ち方を規準に、或いは仮にお手本とするなら、それと我が国、日本での様子を比較することは基本的なことがらといえます。一口に日本とはいうものの、地域によって気候風土に差があり、また、施設の有無によっても違いますから、単純な結論に至ることは無理です。まして、沖縄、奄美の亜熱帯性気候の地域に至っては、とても同列にすることは出来ません。それでも、或る程度の中心は必要なので、本州の太平洋岸の温暖な地域で、しかも、大した設備もなく、自然栽培に近い状態と定めてみましょう。

 ストレリチアの姿形全体を比べますと、自生地は固く、締まった、まとまりのよい姿であるのに対し、日本産は、やや大きく、育ち過ぎの感じがします。この花のニュアンスは気候風土の違いが明確に表われています。6〜9月の高温、多湿が原因なのです。自生地でも夏は成長期ですが、日本ほどの雨はなく乾燥していますから柔らかく育つことはないのです。日本の夏はストレリチアにとっては有り難すぎる季節といってもよいでしょう。

 南西諸島は、これが長く続くのですから、軟腐病の被害に悩まされます。育ちのいいのは危険と隣り合わせなのです。それでも、本州南岸は乾燥を保てば生育状態は良好といえましょう。

 冬は自生地の方が有利です。夜は冷えても、日中は十分な気温となりますから冬でも少しは育っています。この点、我が国は夜、昼、共に寒いですから生育はストップ状態です。

 1年を通しての比較では、我が国の生育は満更でもありません。でも、それに至るまでの労苦は避けられないのです。