ストレリチア秘話No.852 ストレリチア栽培の応用と基本

 前章にてストレリチアが自生地と移住先の日本では、どのような違いを見せるかについて検討してきました。この結果から分るのはストレリチアが如何に適応の中が広い植物なのかということです。自生地の環境条件を基本とすれば、移住先の日本は少々、ずれていますが、それに何とか合せてくれている、ということでしょう。

 しかし、だからといって、安易におんぶして、それでもいいんだと思うわけにはいきません。基本から離れることは、或る程度の無理が掛かっていると思うべきではないでしょうか。

それを解消する手立てを用意しておかなければならないのです。+の効果が起きれば、同時に−の効果も生まれます。これは避けられないことです。

 そのために、先ず、基本とは何かを把握する必要があります。ストレリチアの故郷は乾燥地帯なのです。それに合せて生きるように刷り込まれていると見なければなりません。

 雨が多い地域へ移住して部分的に育ちがよくなっても、それは臨時の措置とみなければならないのです。−の効果も同時に発生するわけですから、それに対する手立てが必要になります。

 ストレリチアが適応の巾が広く、違った環境にも合せてくれるのは有り難いことです。この感謝の気持ちを持たないと思わぬ失敗が起きることをわきまえることです。

 現に起きているのです!夏の終わりに雨が続くと軟腐病が発生し、拡がっています。薬剤散布は効果が無く、バクテリアの発生を抑えるよう土地を乾かすのが先決です。つまり、雨がストレリチアだけでなく細菌まで育ててしまっているのです。それなのに、この昔から雨の多い地域に生きてきた植物が平気なのは、対応する手立てを持っているからです。

 しかし、乾燥地帯出身のストレリチアは無防備なのですから被害を受けてしまいます。ストレリチア栽培の焦点はここにあるといえるでしょう。