ストレレチア秘話No.853 ストレリチアと相性 ストレリチアと人だけでなく 植物同士にも

 この「秘話」にて何回となくストレリチアと人との相性を取り上げてきました。今までは半分、笑い話で、そう、真面目な論議ではなく、せいぜい、例え話のようなものでしたが、ここのところへきて、ストレリチア同士の交配にも起きてきたので本腰をいれる羽目になってしまいました。

 私の仕事はストレリチアの育種が中心ですから、毎年、交配して種子を採っています。それが今年に限って今までにない変化が起きてきたのです。或る優秀品種の花粉を色々分散して付けたのですが、種子の出来る量が母様の系統によって大きな差が生まれたのです。

 こんな経験は初めてです。原因は交配の親同士の好み、相性によるものと思われるのです、出来た種子の少なかったのがゴールドクレスト系とオレンジ ジャンセアで、ジャンセアゴールドは全然、異常はありませんでした。これは遺伝子同士の組み合わせの相性の良し悪しだろうと思うのです。生き物同士のことですから、こんなことが起きても不思議ではありません。

 でも、こうなるとストレリチアと人との関係はどうなのでしょうか。気になってきました。

「私は、自分の気に入ったストレリチアを選びなさい」と、よくいいますが、それは人の側の言い分で、場合によっては片思いもあるのではないか、ということです。人とストレリチアが釣り合ってこそが満点ではないでしょうか。

 「その人にふさわしいストレリチアこそ一番なのです」

 事の起こりは、ストレリチアも交配相手を選り好みする品種が出てきたのか、との驚きからでした。