これを当たり前と思わないで下さい。私は逆の場面に遭遇して驚いた経験があるのです。
一年前から、念願が叶ってマルーラという果樹の栽培テストを始めたのです。同じ南アフリカでも自生地が遠く離れてはいるものの環境の気候条件がよく似ているので扱えるだろうと、その有用性に期待をかけました。それでも未だに人工栽培されていないのは何か難しさを抱えているだろうとは思っていたのですが、栽培を始めて直ぐに思い知らされてしまいました。
植物には生きていくための必要条件がいくつもありますが、それも並列ではなく優先順位があります。その最優先条件がマルーラは「日光」だったらしいのです。私たちは平静、常識に従って行動します。私はストレリチアと同じに寒さ除けを優先しました。ところが本格的な寒さが来ない内に次々に枯れてしまったのです。日に当てないわけではなかったのですが十分ではなかったのです。何しろ常識の優先順位では一番ではなかったのですから。
そこで気がついたので生き残った3本の苗から扱いを変えたのです。
ストレリチアの最優先事項は「水」だと思っています。自生地で次の世代が簡単に育たないのは平均降水量 500mmの年では無理で、もっと多い年が何年も続く異常気象がきたときに限られるらしいのです。ところが人工栽培では、水やりは常識ですからいくらでもやれます。ストレリチアは人工栽培なら常識に従うだけで楽に出来るのです。それにストレリチアだって日光は必要です。でもマルーラのように最優先で、それがなければ生きられないほどではありません。水さえあれば、しばらくはしのげるのです。
マルーラは南アフリカ北部の乾燥地帯のブッシュに散在して自生しています。数が多くないのは、開けた日当たりのよい空き地に発芽した苗でなければ生きられないからでしょう。それだけに気難しい植物なのです。但し、特別に難しい条件を望んでいるわけではありません。極く常識的なことがらなのです。ただ、優先順位が私たちの常識からずれているだけなのです。
ストレリチアは人工の方が良く育つといってもいいくらい栽培が楽な植物で有り難いと思っています。
