二つの生物が、友好な関係を築いてゆくには、同一の環境内でお互いが共にいきてゆかれることが条件になります。その環境の成立条件は数多くありますが、優先順位でいえば、人間と同居するには、相手が動物でも,植物でも、気温が第一の条件となるでしょう。この点では高温が維持できる温室がなければ生きられない熱帯植物では困るのです。私達、人類は暑い真夏だけでなく、凍る冬にも生きなければならないからです。
ストレリチアは、この点をクリア=出来るかどうか、微妙な線上にあります。私は長い間、ガラス温室で寒さを防ぐ栽培をしてきました。施設内であれば、楽に育てられても、一般家庭に引き取られると、環境の差が大きくて困ったものでした。ここがストレリチア世界の根本的な課題でもありました。
それが数年前、強烈な台風で温室が吹き飛ばされてしまったのです。そこで今更、施設に頼ることはあきらめ、自然栽培に切り替えることにしました。ストレリチアは、そのままですむわけにはいきません。一番の問題は冬の寒さですから、霜除けを、あの手、この手と工夫を加えたのです。勿論、経費を最小限にしたのですが、これは現在でも続けています。施設に頼らないのは簡単ではありません。
このようにして何とか温室に頼らない栽培を続けています。これは、お客さんにとっても朗報で、自信をもってお勧めできています。近頃は東京を中心に庭園の地植えが多くなっていますが、大いに参考にされています。
ようやくストレリチアも友好植物の仲間入りを果たしてきていますが、何もしないで、というわけにはいきません。それなりの手が加えられて初めて成功することを忘れてはいけません。
